一般貨物運送業の新しくなった増車手続き

改正増車手続きイメージ

この投稿の目的と想定する読者さま

目的

  • 増車の手続きが大幅に変更になったことを知ってもらうこと

想定する読者さま

  • トラックの増車を計画している一般貨物自動車運送業の事業主様
  • いつもの通り届出にいった所、それでは受け付けられないと言われてしまった一般貨物自動車運送業の事業主様
  • 増車の相談を受けた行政書士や税理士の先生方 など
目次

一般貨物運送業の新しくなった増車手続き

令和元年11月1日から事業用自動車の増車手続きが大幅変更になっています。

「事前届出」であったものが、一定の条件に該当する場合は認可が必要になりました。

つまり、届け出ることによって即日増車ができていたものが、認可を要するものにあたる場合、1ヶ月以上の審査期間が係ることになります。

事業の拡大を目指す事業主様は、改正の趣旨を理解して事前に入念な準備をしていきましょう。

抑えておきたい改正のポイント

まず覚えておきたいのは「増車は必ずしも認可が必要な訳ではない。」と、言うことです。

つまり、届出で済む場合があると言うことです。

では、どういった場合に届出と認可で区別されるのか1つずつ確認していきましょう。

届出と認可の境目

届出か認可かのどちらかを見極めるためには、以下の3つの項目からまずは確認します。

  • 増車前の状況が、車両配置基準に適合していない
  • 増車までの間、法令の遵守状況に問題が無いか
  • 今回の増車が、事業規模の拡大にあたらないか

この3つに該当しているか否かで、届出か認可のいずれかに区別されます。

続いて、その該当性の確認方法を見ていきましょう。

キモとなるのは後ろ2つの項目です。

増車前の状況が、車両配置基準に適合していない

この該当性については、まず各運輸支局の配置基準を確認します。

愛知運輸支局を含む中部運輸局の管轄では通常5台の配置を求めています。

例外もありますが、通常のトラック運送事業である場合、例外に当てはまることはあまりありません。

念のため例外について確認されたい方は、以下の記事の「車の条件とは」をご覧ください。

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この新設ルールは、諸事情や事業計画の関係で、この配置基準以下の車両数しか配置できていない場合のことを指しています。

車両台数がどのように変わると手続きに影響が出るか、以下の表をご確認ください。

現在台数 増車後の台数 手続きの種類
5両未満 5両未満 認可
5両未満 5両以上かつその他新設ルールにも係らない 届出

その他新設ルールについては以降順番に解説します。

増車までの間、法令の遵守状況に問題が無いか

こちらが、本改正でキモとなる新設ルール2つのうちの1つです。

この新設ルールは、以下の3つのポイントをチェックしてください。

  • 申請者及び関連会社等が一般(特定)貨物自動車運送事業の許可取消を受け、その取消の日から5年が経過していない
  • 増車を行う営業所の行政処分の累積違反点数が12点以上である
  • 増車を行う営業所について、巡回指導による総合評価において「E」の評価を受けている

これらのうち、1つでも該当した場合はその他のルールをクリアしていたとしても、届出ではなく、認可申請となっていまいます。

言い換えると、このルール全てが非該当、かつ、その他のルールにも引っかからない場合は届出でOKです

今回の増車が、事業規模の拡大にあたらないか

こちらが、本改正でキモとなる新設ルール2つのうちの1つです。

一気に車両を増やすことは、事業規模の拡大にあたるため、従来から事業規模の拡大として認可申請による手続きが求められているものと同様の手続きを踏むことが求められるようになったと理解してください。

この新設ルールへの該当性は少し複雑です。

事例を用いて確認していきましょう。

まずは、以下の3つのポイントに分けて検討します。

  • 何台、増車するのか
  • 最近、増車したのはいつか
  • 今回の増車の台数は、現在増車の対象となる営業所に登録されている車両の台数の何%にあたるか

続いて、1つずつ何を問われているのか確認していきましょう。

何台、増車するのか

台数の基準は11台を基準にしています。

増車する車両が11台以上であるか否かです。

最近、増車したのはいつか

台数だけを基準にした場合、日を分けて手続きを行えば、いくらでも増車できてしまうので、その欠点を補うために起算点が設定されています。

具体的には、増車を行う営業所で申請日から見て3ヶ月以内に増車があったかどうかを問われています。

例として問題となる場合の計算式をご確認ください。

申請する台数 + 過去3ヶ月以内にした増車の台数 = 11台以上

これが10台以下であり、かつ、その他新設ルールにも係らない場合は届出でOKです。

今回の増車の台数は、現在増車の対象となる営業所に登録されている車両の台数の何%にあたるか

ここまで確認してきたのは、11台以上増えてはいけないこと、その起算点が申請日の3ヶ月前であることでした。

一律に11台以上増えた場合は「認可」としてしまうと順当に事業を拡大してきた事業者が不便になってしまいます。

そのため、以下の条件を満たす場合に限っては11台以上の増車も「事業規模の拡大ではない」という扱いを受けることができます。

今回増車する台数 ÷ 増車する営業所に登録されている台数 = 30%未満

 例 11台(増車予定) ÷ 37台(対象営業所に登録されている車両数) = 29%  ∴ 届出でOK[/st-cmemo]

ここまでの一連の条件に当てはめて、今回の申請が事業規模の拡大か否か判断が出来たと思います。

このルールをクリアして、かつ、その他の基準も満たすことで認可申請ではなく、届出で即日増車を行うことが出来ます。

まとめ

この記事で抑えておきたい2つのポイント

  • 増車の手続きがとても煩雑になったこと
  • 全て認可申請ではなく、届出で問題ないケースもあること

認可申請・届出のサポート

本稿によって、認可条件等についてはわかったものの…

  • 運輸支局まで行く時間がない…
  • 書類の作成が面倒…
  • 認可を得る前に勝手に移転している状態かもしれないから手続き前に相談したい…
  • 1度持ち込んだけど受付すらして貰えなかった… など

こういった事情等でお困りの方は、申請書の作成から申請書の提出代行まで承っております。

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    この記事を書いた人

    運送業などを経て行政書士事務所を開業。 一般貨物自動車運送事業の手続きを始めとした自動車関連業務の手続きに特化。

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