自家用自動車有償貸渡業の許可につく条件

自家用自動車有償貸渡(レンタカー)事業許可申請イメージ

この投稿の目的と想定する読者さま

目的

  • この許可が必要な事業について知ってもらうこと
  • この許可を取得後に必要な知識について知ってもらうこと

想定する読者さま

  • これからレンタカー事業を営もうと検討している方
  • 自動車整備業を営んでおり、代車を貸し出してお金を頂いている方
  • 自家用自動車の有用貸し渡し事業の開業について相談を受けた行政書士や税理士の先生方 など
目次

自家用自動車有償貸渡業の許可につく条件

以下の記事で紹介した自家用自動車有償貸渡業(以下、レンタカー業許可)を取得した後、様々な条件が付せられます。

条件といっても、許可事業であれば通常付せられる事項がほとんどですので、心配せずひとつずつ確認していきましょう。

許可後ではなく許可して貰うのに必要な条件を知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

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レンタカー業許可につく14の条件

見出しの通り、レンタカー業許可には許可後、条件が14点付せられます。

その内容は、大きく分けると以下の4つに分類されます。

  • 許可後に事業内容の変更が生じた時の手続きについて
  • 事業者として遵守すべき事項について
  • 備え付けが必要な書類について
  • マイクロバスを取り扱う事業者への注意

いずれも、懈怠や違反が認められれば処分の対象となりますので、細かく見ていきましょう。

1.事業内容の変更が生じたとき事後手続きが必要なもの

事業内容の変更があった場合で、以下の事項については、変更後遅滞なく運輸支局長へ届け出なければなりません。

  • 貸渡事業者の氏名または名称と住所
  • 法人の役員
  • 貸渡料金および貸渡約款
  • 貸渡しの廃止

公示には、明確に期間が指定されていませんが、変更があり次第、なるべく早く提出したほうが良いです。

例えば、貸渡し用の自動車を増やそうと思った場合で住所変更を行ってた場合などは増車の手続きがストップしてしまう可能性があります。

その他、行政処分の対象にもなっているので忘れる前に届出ましょう。

2.事業内容の変更が生じたとき事前手続きが必要なもの

1番は事業内容の変更が生じた後に手続きをすればよいものでしたが、以下に挙げる事項については、その変更が生じる前に届け出なければいけません。

  • 事務所の名称の変更
  • 事務所の所在地の変更

貸渡し事業者の住所、とは違い事前の手続きになるので注意してください。

事業所の所在地変更の場合で、会社事務所と貸渡事業所の場所が同じ方は事後届出の貸渡事業者の住所変更も忘れないようにしましょう

なお、手続き時には許可証の写しを添付することが求められています。

3.増車時の手続きについて

新たに貸し渡し事業に使用する自動車を保有しようとする場合、つまり、増車をしようとする場合は届出時に本許可を受けたことを証明しなければならない、とされています。

具体的には、許可書の写し(当支局管内で許可を受けていない場合)と、されているので、例えば、愛知県でレンタカー事業を行う方で愛知運輸支局長の許可を受けた事業者様の場合、特に証明は必要ありません、その他に添付が必要となる書類は以下の通りです。

  • 事務所別車種別配置車両新旧対照表
  • 許可書の写し(手続きを行う支局管内で許可を受けていない場合)
  • (マイクロバスの増車を行う場合)直近2年間の自家用マイクロバスの貸渡簿の写し

4.レンタカー型カーシェアリングを行う事業者に対する注意

まず、レンタカー型カーシェアリングについて公示基準では以下のように定義されています。

会員制により特定の借受人に対して、自家用自動車を業として貸し渡すこと

この事業に該当する場合で、かつ、環境に配慮した車両を使用して行おうとする場合は、あらかじめ、当該貸渡自動車の配置事務所の所在地を主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長に届け出る必要があります。

回りくどい表現なので、ポイントを整理すると、以下に挙げるエコカーの類いをレンタカー型カーシェアリング事業で使う場合は、その車両を配置する事務所を管轄する運輸支局長に事前に届け出る必要がある、ということです。

  • 天然ガス自動車(CNG自動車)
  • 電気自動車
  • ハイブリッド車
  • メタノール自動車
  • 低燃費かつ低排出認定車
  • アイドリング・ストップ車

ココに注意

ここに例示された車両以外の車両を使用する場合、会員に向けてエコドライブについての研修・啓蒙を行う計画を作成・実施することが義務づけられています。

5.運転者の労務供給の禁止

レンタカー事業者は、「レンタカー事業者が行う運転者に係る情報提供のあり方について(平成16年3月16日付け国自旅第234号)」に従って運転者に関する個別具体的な情報提供や、貸渡に付随した運転者の労務供給を行ってはいけません。

情報提供の依頼があった場合には、当該地域における運転者一覧表を提示して行うと定められており、これ以上の情報提供は厳格に禁じられています。

そして、こういった情報提供行為等を行わない旨を、事業所に掲示しておくことが義務づけられています。

ココがポイント

あくまで、レンタカー事業者は車を貸し出し、対価を得ることが業であり、実際の運転等の役務を代替することは予定されていません。

かつて、レンタカー業者が旅客運送事業の経営類似行為を助長するケースが散見され、問題も発生していたため、今は厳格に規制されています。

6.名義貸しの禁止

これは事業者として、当然の責務です。

名義貸し行為というのは、例えば、知人等が所有する自動車を借り、貸渡自動車として事業で使用することなどが考えられます。

名義貸し行為はその他の許認可事業においても、しばしば問題となりますが、発覚時の処分はとても厳しいので、間違っても手を染めないようにしてください。

7.貸渡料金と貸渡約款の掲示について

貸渡料金と貸渡約款については、定めた上で掲示しなければなりません。

許可申請時に、添付書類となっているため許可申請までに作成しなければなりません。

8.車両の管理について

貸渡自動車が、その配置登録された事務所にあるか、それ以外の事務所に一時的に置かれているかに関わらず、その車両が配置登録されている事務所は貸渡の状況と整備状況等車両の状況を把握し、適切な管理を行わなければなりません。

 

ココに注意

レンタカー型カーシェアリング事業を行う場合で、IT等の利活用によって車両の貸渡・整備状況を的確に把握できる場合は、この限りではないとされています。

9.帳簿の備え付け

貸渡の状況を把握するために、以下の項目を記載した貸渡簿を備え付け、かつ、2年間以上保存しなければなりません。

  • 借受人の氏名または名称と住所
  • 運転者の氏名、住所、運転免許の種類と運転免許証の番号
  • 貸渡自動車の登録番号または車両番号
  • 貸渡日時と時間
  • 貸渡事務所と返還事務所
  • 運行区間または行き先と利用者人数と使用目的(自家用マイクロバス貸し出しの場合のみ)
  • 走行キロ数
  • 貸渡料金
  • 事故に関する事項

これらを記した原票を綴ったものを貸渡簿として扱うことができます。

10.貸渡証の交付

貸渡の際は、以下の事項を記入した貸渡証を交付し、携行するよう指示しなければなりません。

なお、レンタカー型カーシェアリング事業はこの規定から除外されています。

  • 借受人の氏名または名称と住所
  • 運転者の氏名、住所、運転免許の種類と運転免許証の番号
  • 貸渡自動車の登録番号または車両番号
  • 貸渡日時と時間
  • 貸渡事務所と返還事務所
  • 貸渡人の氏名か名称と住所
  • 「運行中必ず携帯し、警察官又は地方運輸局若しくは運輸支局の職員の請求があったときは、呈示しなければならない」旨の記載
  • 「自動車の借受けに付随して、貸渡人から運転者の労務供給(運転者の紹介及び斡旋を含む。)を受けることができない」旨の記載
  •  貸渡自動車に係る事故及び故障等が発生した場合の処置(処置方法、
    連絡先等)に関する記載
  • 「貸渡期間が2日以上となる場合には、日常点検を借受人が実施することとなる」旨の記載

11.貸渡実績報告書と事務所別車種別配置車両数一覧表の提出義務

レンタカー許可事業者は、貸渡実績報告書と事務所別車種別配置車両数一覧表を提出しなければなりません。

提出の期日と提出先、事務所別車種別配置車両数一覧表の観測点については以下の通りです。

提出の期日

毎年5月31日まで

提出先

主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長

事務所別車種別配置車両数一覧表の観測点

前年度の6月30日、9月30日、12月31日、3月31日における各営業所の配置車両数

12.自家用バス・霊柩車の貸渡について

自家用バスについては、以下の規格に当てはまるもの、霊柩車については全て、貸渡を行ってはいけません。

貸渡が禁じられている自家用バスの規格

  • 乗車定員が30人以上のもの
  • 車両長が7mを超えるもの

このいずれかに当てはまる自家用バスは貸し渡すことができません。

13.自家用バスの貸渡の特則

12番で説明したとおり、自家用バスを貸し渡す際は決められた規格以下のものでなければなりません。

さらに、その点に加え以下の要件を満たさなければなりません。

参入のための条件

  • 他車種でのレンタカー事業で2年以上の経営実績があること
  • 届け出る前の2年間において、車両停止以上の行政処分をうけていないこと

※この両方を満たした場合に限り、自家用マイクロバスの貸渡事業に参入できます。

運用上の条件

  • 貸渡を行う7日前までに、車両ごとに運輸支局長に届け出なければならない

※一定の場合にこの届出を省略出来る場合があります。

14.行政処分について

貸渡事業者が、ここまで13種類の条項と道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法に違反したときは、貸渡自動車の貸渡を停止させることや、許可自体の取り消しを行う場合があります。

以上、14項目を遵守することが、許可事業者に対して求められています。

許可申請のサポート

本稿によって、許可条件等についてはわかったものの…

  • 運輸支局まで行く時間がない…
  • 書類の作成が面倒…
  • もしかすると無許可で営業している状態かもしれないから不安…
  • 1度持ち込んだけど受付すらして貰えなかった… など

こういった事情等でお困りの方は、申請書の作成から申請まで代行にて承っております。

以下のコンタクトフォームや、LINEのおともだち登録をして頂いきそのままLINEで、お問い合わせくださいませ。

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まとめ

この記事で抑えておきたい2つのポイント

  • 自家用自動車有償貸渡(レンタカー)事業は許可後もたくさんの事務手続きがあること
  • 変更事項がなくても、毎年報告書を書く必要があること

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    この記事を書いた人

    運送業などを経て行政書士事務所を開業。 一般貨物自動車運送事業の手続きを始めとした自動車関連業務の手続きに特化。

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