第一種貨物利用運送事業の許可でできることと許可の取り方

ご相談者さま

トラックもお金もそんなにないけど、取引先から運送に関する仕事の打診があった。
せっかくなら対応したいけど、どうしよう。

行政書士土井孝仁

ご安心ください!
運送業の許可がなくてもお仕事をお引き受けする方法はあります!
その方法についてやさしく解説しますね。

目次

運送業の許可がなくても仕事が受けれるってホント?

結論、運送業の許可がなくても運送のお仕事を引き受けることはできます。
そして、その方法が第一種貨物利用運送事業の許可を得ることなんですね。
この第一種貨物利用運送事業の許可の条件は運送業の許可と比べて、かなりやさしいです。
そのため、運送業の許可を取得するまでの間、荷主さんを手放さないように第一種貨物利用運送事業の許可をとる方も少なくありません。
この記事ではその第一種貨物利用運送事業の許可でできることと許可取得の方法までを解説します。
お困りの方は、ぜひご参考にしてくださいね。

第一種貨物利用運送事業の許可でできること

まずは運送のお仕事がうけれる、第一種貨物利用運送事業って言われても実際にどんなことができるのかイメージがしにくいですよね。
現実にはお取引の流れには色んな種類があると思いますが、この記事では代表的なものをひとつ紹介します。

第一種貨物利用運送事業の許可でできるお仕事の例
  1. 運送の依頼をうける
  2. トラック事業者に運送をお願いする
  3. 荷主から運賃をもらう
  4. トラック事業者に運賃をお支払いする

運送業者との違いは、自社で運送を行なってないところです。
つまり、お仕事を引き受けても実運送は営業ナンバーの運送会社におまかせしなければなりません。

続いては、許可が要らない場合です。
次のような場合は、第一種貨物利用運送事業の許可はいりません。

第一種貨物利用運送事業の許可が要らないケース
  1. 自社の荷物を運送会社にお願いする
  2. その対価として運賃をお支払いする

これは、他人の需要が関係していないので許可はいらないんですね。
さきほどのケースと比べて、違いを理解しておきましょうね。

さて、解説をしてきたものの、現実には知らず知らずのうちに第一種貨物利用運送事業に当てはまる仕事をしてしまっている方も少なくありません。
もしかして・・・。と、心当たりがあっても役所には聞きにくいでしょうから、心当たりがある方はお気軽にお問い合わせくださいね。

かんたんなメモをご準備のうえ、「利用運送のホームページをみた」とお伝え下さい。

つづいて、利用運送事業を営む上でのリスクを確認しておきましょう。

これだけは知っておこう、利用運送事業のリスク

仕事をうけて、運送会社に依頼するのでパッと見、第一種貨物利用運送事業はノーリスクに見えます。

実はこれが怖いところで、実際には荷主さんを保護するため、一定の場合に利用運送事業者に責任を負わせるように設計されているんですね。

まずは下図を1度ご覧下さい。

利用運送業者の責任イメージ

このとおり、関わった全ての人がそれぞれの責任を負うんですね。
つまり、仕事を紹介してハイ終わり、というわけにはいかないということです。
第一種貨物利用運送事業をはじめるにあたって、このことは必ず頭にいれておきましょう。

第一種貨物利用運送事業の許可が欲しい!どんな準備をすれば良いの?

さて、いよいよそれでも許可が欲しいぞとなってもすぐにはもらえません。
第一種貨物利用運送事業の許可を得るためには、さまざまな条件をクリアしなければなりません。
そしてそのことを書面にまとめて、役所に申請をすることで審査が受けられます。
晴れてその審査をクリアすることで許可が得られるんですね。

このセクションではその許可の条件について確認をしていきましょう。

まずは欠格事項について知っておこう

さて、第一種貨物利用運送事業の許可を得たいと思ったら、まず欠格事項から確認しましょう。
なぜなら他の条件を全て満たしたとしても、下記のいずれかの欠格事項に当てはまると許可が得られないからです。
とても長い文章で読むのが大変ですが、しっかり確認しておきましょうね。
なお、弊所にお手続きを外注される予定の方は、ヒアリングの際に口頭で確認させて頂きますので読み飛ばして頂いても構いません。

  • 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  • 第一種貨物利用運送事業の登録(許可)又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
  • 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
  • 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
  • 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの
    • イ 日本国籍を有しない者
    • ロ 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
    • ハ 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体
    • ニ 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの
  • その事業に必要と認められる国土交通省令で定める施設を有しない者
  • その事業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者

さて、該当するものはありませんでしたか?
とはいっても、「国土交通省令で定める施設を有しない者 」と「国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者 」については基準が分からず、判断がつきませんよね。

続いてはこの2つの基準について確認していきましょう。

国土交通省令で定める施設を有しない者とは?

さて、第一種貨物利用運送事業の許可条件のうち、「国土交通省令で定める施設を有しない者」とありますが、まずは次のリストをご覧下さい。

  • 使用権原がある営業所、店舗を有していること
  • 上記営業所等が都市計画法等関連法令の規定に抵触しないこと
  • 保管施設を必要とする場合は、使用権原のある保管施設を有していること
  • 上記保管施設が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと
  • 上記保管施設の規模、構造及び設備が適切なものであること

ここに記載の5項目が利用運送の施設として求められる条件で、これらの条件を満たす施設を持っていることを求めています。
営業所は必ずないといけませんが、保管施設については必ずしも保有していないといけないワケではありません。

さて、条件の中では分かりにくい記載でしたがそんなに難しいことを求めてはないですよね?
そのうち気をつけるべきポイントとしては、都市計画法に関する調査が1番難しくハマりやすいポイントとなっています。
場合によっては立ち退きを命じられるなど、深刻なダメージを負いかねませんので事前調査はしっかりとしておきましょうね。
もし、自信がない方はお手続きのご依頼もご検討くださいね。
あなたに変わって、予定地の調査はしっかり弊所が行ないます。

国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎とは?

この条件が求めているのは、ズバリ純資産があることです。
具体的には純資産が300万円以上あることが求められています。基本的には貸借対照表や財産調書によって証明します。

よく、お金があればいいんでしょ?と、聞かれることがありますがこれは間違いです。
純資産がよく分からない方は直接ご相談ください。

必要な書類について

ここまでは条件について説明してきました。

ここからは具体的にその条件に該当しないことを証明するために揃える書類を確認していきましょう。

申請書と添付書類の2種類に分けて確認していきましょう。

申請書

第一種貨物利用運送事業の申請書は各支局のホームページでダウンロードできます。

記載すべき事項は以下4点です。

  • 氏名または名称及び住所(法人の場合はプラス代表者氏名)
  • 主たる事務所、その他営業所の名称と所在地
  • 事業の経営上使用する商号があるときはその商号
  • 利用運送機関の種類、利用運送の区域または区間と業務の範囲

続いて添付書類を確認していきましょう。

添付書類

第一種貨物利用運送事業の申請に必要な添付書類のうち、主要なものは大きく分けて5種類です。

順番に必要なものを確認していきましょう。

事業の計画に関する書類

こちらも、申請書同様、運輸支局のHPでひな形が公開されております。
記載すべき事項は次の通りです。

  • 利用する運送を行う実運送事業者または貨物利用運送事業者の概要
  • 貨物の保管体制を必要とする場合にあっては、保管施設の概要
  • その他事業の計画の内容として必要な事項

利用する運送を行う実運送事業者または貨物利用運送事業者との運送に関する契約書の写しまたは契約書(案)

実運送事業者との利用運送契約書を添付することを求めています。
契約書(案)の場合は許可される日までに本契約書の提出が必要です。
契約書には、適切な価額の収入印紙を貼っておきましょう。
その他、この契約書の具体例は以下の通りです。

  • 業務取扱契約書
  • 国内(国際)貨物代理点契約書(写) など

弊所にご依頼頂いた方には、一般的な内容の契約書で問題ないお客さまに限り、そのひな形をプレゼントしています。
ご希望の方はぜひ、ご依頼くださいね。

貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類

さて、第一種貨物利用運送事業の許可を得るために必要な添付書類のうち、貨物利用運送事業の用に供する施設に関する事項を記載した書類は以下の通りです。

  • 保管施設の面積、構造と付属設備を記載した書類
    ※貨物の保管体制を必要とする場合のみ
  • 都市計画法等関係法令に抵触しないことを証する書類
  • 営業所等の使用権原を有することを証する書類
  • 基幹保管施設以外の保管施設について、適切な規模、構造及び設備を有するものであることを証する書類

いずれも、宣誓書を作成するのですが、求められていることが分からないままサインしてしまうのはとても危険です。
もし、書いてあることが分からなくてお困りのようでしたら、ご相談くださいね。

申請者の種類ごとに異なる書類

以下に区分された申請者のうち、当てはまる申請者区分の書類を用意する必要があります。

申請者が法人の場合
  • 定款または寄付行為と登記簿の謄本
  • 最近の事業年度における貸借対照表
  • 役員または社員の名簿と履歴書
申請者がこれから法人を設立される場合
  • 定款または寄付行為の謄本またはこれらの案
    ※案の場合は定款認証後、定款か寄付行為の謄本を提出
  • 発起人、社員または設立者の名簿と履歴書
  • 株式の引き受けまたは出資者の状況と見込みを記載した書類
    ※設立しようとする会社が株式会社の場合のみ

定款・登記簿謄本の目的欄に「貨物利用運送事業」の記載が必要です。
万が一、申請を急ぐのに記載がない場合は直接ご相談くださいね。
続いて申請者が個人の場合も確認しておきましょう。

申請者が個人の場合
  • 財産に関する調書
  • 戸籍抄本
  • 履歴書

それぞれご自身が該当する種類の書面をご用意くださいね。
それでは続いて最後に欠格事項に関する書類です。

欠格事項のいずれにも該当しないことを証する書類

第一種貨物利用運送事業の欠格事項にはどのようなものがあったか、この記事の中でもご紹介していますね。
申請にあたっては、該当しないことを書面に整えて署名して提出するだけと、とてもシンプルです。
ただし、申請すれば必ず細かく調べられますので、この項目避けて通ることはできません。
繰り返しになりますが、その他の条件をいかに満たしていても、この欠格事項に当てはまれば許可を得ることができません。
つまり、やろうと思って必ずやれるわけではないので、営業をはじめる前に最低限、欠格事項の調査はしておきましょう。

まとめ

さて、第一種貨物利用運送事業の許可申請について、理解を深めて頂くことが出来たでしょうか?
体感ですが、この許可は認知度がとても低いように感じています。
もしかして知らずのうちにやってしまっていたかも、と気になった方等、お困りの方はぜひご相談下さい。

あとがき

第一種貨物利用運送事業を営むために受ける必要があるのは「許可」でなく「登録」です。
ご覧頂いた方が馴染みやすいように、便宜上「許可」という言葉を代用していますこと申し添え致します。
ご理解いただきますようお願いいたします。

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    この記事を書いた人

    運送業などを経て行政書士事務所を開業。 一般貨物自動車運送事業の手続きを始めとした自動車関連業務の手続きに特化。

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