この投稿の目的と想定する読者さま
目的
- 営業所や車両の選定の一助となること
- 取得手続きのポイントを理解して貰うこと
想定する読者さま
- これから事業を立ち上げようとする事業主の方
- トラックの追加を検討している事業主の方
- お客様から「ここって運送業の営業所に使える?」と聞かれた不動産屋さん
- 事業立ち上げの相談を受けた行政書士、税理士など士業の先生
幅員証明の取得が必要な方
幅員証明は全事業者様が提出を義務づけられている書類ではありません。
提出が不要な事業者様は、車庫の前面道路が国道であることが条件になっています。
それ以外の事業者様は幅員証明によって、接続する道路幅の証明が必要になります。
幅員証明の取得方法
その道路の管理者に証明して貰います。
市役所の土木課など、管轄している部署に確認しましょう。
ココに注意
頻繁に発行している書類ではないことが原因だと思いますが、問い合わせてもこの書類について把握していない職員の方も少なくありません。
その時は、「運送業の許可を得るため、道路の幅が証明できる書類を発行頂きたいです。」のようにひと言添えると良いでしょう。
必要な書類
管轄する市役所によって、求める書類に違いがあると思うので必ず、担当部署に確認を取ってください。
ホームページや、案内に記載が無くても隠れ必須書類のようなものも存在するので、持ち戻りを避ける意味で必ず確認しましょう。
本稿では、申請書以外に今までに求められたことのある書類を参考に列記致します。
- 公図
- 案内図
- 概況図
- 写真
- 車検証のコピー(使用予定車両で幅が一番大きな車両のもの)
- 車検証のコピー(使用予定車両で高さが一番高い車両のもの)
ココに注意
申請から証明までには1〜2週間程度の時間が掛かります。
余裕を持った申請をするようにしましょう。
車両制限令について
これより先の内容は、実務的な内容から知識部分に係るものになります。
幅員証明は、道路の幅を公的に証明して、その運行に支障がないことを確認するための書類にすぎません。
では何故、この書類を準備する必要があるのか?
その根拠は道路法に定められています。
第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(略)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。
道路法
この赤字で示した部分等を定める政令が、車両制限令というものです。
車両制限令の趣旨は①道路の構造の保全②交通の危険の防止とされています。
この2つの趣旨のうち、運輸の許可行政においては②の交通の安全を担保するための意味合いが強いものと推測されます。
道路法と車両制限令による具体的な制限
この2つの法令の関係性は、道路法が大枠について規定し、具体的な条件を車両制限令によって定めているような構造です。
まず、大枠を定める道路法から確認しましょう。
道路法
- トンネル
- 橋
- 高架の道路
- これらに類する構造の道路
- 政令で定められた道路
これらの構造の道路を通行する車両に道路管理者が条件を付けることを認めています。
リストの内容から、無条件な通行を認めるには危険であることがよくわかるかと思います。
加えて、これらの条件に該当しない車両を扱いたい場合は、道路管理者が個別に特殊車両の通行許可を与えることも認めています。
ココがポイント
一般貨物自動車運送事業の経営許可の審査では、駐車場に接続する道路が車両制限令に抵触しないことを求めているので、赤字で示した部分、つまり車両制限令に規定される内容がメインの検討対象になります。
車両制限令による制限(その1)
車両制限令は前パートで紹介した道路法第47条の委任を受け、公道を走行して良い一般的な車両の規格を以下の通りに定めています。(※トレーラー連結車の特例は省略)
- 幅・・・2.5m
- 総重量・・・総重量20t
(高速自動車国道、重さ指定道路は車両の長さと軸重に応じて20t〜25tの間で制限)
軸重・・・10t
隣接軸重・・・18〜20t
輪荷重・・・5t - 高さ・・・3.8m(高さ指定道路は4.1m)
- 長さ・・・12m
- 最小回転半径・・・車両の最外側のわだちについて12m
これらを超えるものは、特殊車両の通行許可等が無い限り、公道を走行することは出来ません。
車両制限令による制限(その2)
車両制限令は市街地区域を走行する場合に車両の幅について制限を加えています。
ココに注意
市街地区域は都市計画法の市街化区域とは別物です。都市計画を所管する部署でなく、道路を管理する部署に確認しましょう。
制限される車両は以下の3種類にカテゴリ分けされます。
- ①道路管理者が自動車の交通量がきわめて少ないと指定した道路を走行する車両と②一方通行の道路を通行する車両(第5条第1項)
- 上記の道路以外を通行する車両(第5条第2項)
- ①市街地区域内の駅前、繁華街等にある歩行者の多い道路で道路管理者が指定したものの歩道又は②自転車歩行者道のいずれをも有しない区間を道路管理者が指定した時間内に通行する車両(第5条第3項)
それぞれ、以下の条件をクリアしていなければなりません。
第5条第1項
- 車道の幅員 ー 0.5m ≧ 車両の幅
※例外
・その道路に歩道や自転車歩行者道がなく、路肩が不明、もしくは路肩の幅員が1m未満の場合
→ 路面の幅員 ー 1m ≧ 車両の幅
第5条第2項
- ( 車道の幅員 ー 0.5m ) ÷ 2 ≧ 車両の幅
第5条第3項
- 車道の幅員 ー 1m > 車両の幅もしくは
- ( 車道の幅員 ー 1.5m ) ÷ 2 ≧ 車両の幅
車両制限令による制限(その3)
車両制限令は市街地区域以外を走行する場合にも車両の幅について制限を加えています。
制限される車両は以下の2種類にカテゴリ分けされます。
- 一方通行の道路または300m以内の区間ごとに待避所がある道路を通行する車両(第6条第1項)
- 市街地区域外であって上記の道路以外を通行する車両(第6条第2項)
それぞれ、以下の条件をクリアしていなければなりません。
第6条第1項
- 車道の幅員 ー 0.5m > 車両の幅
第6条第2項
- 車道の幅員 ÷ 2 > 車両の幅
このほかにも総重量や軸重、カタピラや路肩走行などに制限が加えられていますが、本稿での解説は省略致します。
ココに注意
各語句が指す部分等
- 車道・・・路面の路肩部分を除いた部分を指す
- 路面・・・車道と路肩に該当するであろう部分の全て
- 路肩・・・車道以外の路面で、車道との別が明確な部分
- 路肩相当・・・車道以外の路面で、車道との別が不明確な部分
さらに道路幅員を定義する上で、基準となるのは境界ではないことに注意が必要です。
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まとめ
この記事で抑えておきたい2つのポイント
- 幅員証明は役所にとっても豊富な事例のある手続きでないこと
- 駐車場選定時、接続する道路の調査は慎重に行う必要があること
許可申請のサポート
本稿によって、許可条件等についてはわかったものの…
- 運輸支局まで行く時間がない…
- 書類の作成が面倒…
- もしかすると無許可で営業している状態かもしれないから不安…
- 1度持ち込んだけど受付すらして貰えなかった… など
こういった事情等でお困りの方は、申請書の作成から申請まで代行にて承っております。
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