一般貨物自動車運送事業の運行管理者

一般貨物自動車運送事業の運行管理者

この投稿の目的と想定する読者さま

目的

  • 運行管理者になれる人材とその方法について理解して貰うこと
  • その職責の概要を理解して貰うこと

想定する読者さま

  • これから一般貨物自動車運送事業の許可取得を目指す方
  • 許可取得の相談を受けた行政書士や税理士の先生方
  • 運行管理者の資格試験を受験しようと思われている方 など
目次

運行管理者とは?

事業者が行う輸送の安全を守る責任者を指します。

市民の命に関わる重大な役割をもつため、立候補制ではなく、資格や実務経験等がなければその職務に就くことは出来ません。

さらに、運行管理者がいない状態で事業を行うと、厳しい罰則が用意されています。

そのため、退職のリスクを避けるため、個人であれば代表が、会社であれば社長が選任されているケースも少なくありません。

運行管理者は何人必要なの?

まず、営業所単位で選任が必要であることを前提とします。

そして、その営業所が抱える自動車の数によって配置する人員の数がかわります。

算定式は以下の通りです。小数点は切り捨てで計算します。

その営業所が運行を管理する事業用自動車の数 ÷ 30 + 1

この式によって算出された数、運行管理者を配置しなければなりません。

平たく言えば、営業所の事業用自動車30台につき1名と言うことになります。

さらに


1の営業所に複数の運行管理者を選任する場合は、統括運行管理者の設置も義務づけられています。

ココがポイント


中部運輸局管轄地域では以下に列記する営業所に関しては運行管理者の設置義務はありません。

  • 専ら霊きゅう自動車の運行を管理する営業所
  • 専ら一般廃棄物の収集運搬のために使用される自動車の運行を管理する営業所
  • 一般的に需要の少ないと認められる島しょの地域に存する営業所
  • 条件等を付せられた急便業者の行う輸送に係る自動車の運行を管理する営業所

運行管理者の職務

運行管理者の職務については、21種類に及び、以下の通り定められています。

監査や巡回指導にも密接に関連する項目であるため、別の記事で改めて取り上げます。

運行管理者になるためには?

一般貨物自動車運送事業等で運行管理者となるためには、2つの方法が用意されています。

  1. 運行管理者試験に合格すること
  2. 実務の経験その他の要件を備えること

運行管理者試験に合格すること

これはとてもシンプルで、運行管理者試験に合格することです。

試験の概要

実施機関

実施時期

年2回(8月・3月)

申込方法

  • インターネット申請(合計:6,880円)
  • 書面申請
    • 通常の書面申請(合計:6,220円)
    • おまかせ申請(合計:8,880円)

受験資格

  • 運行管理に関して1年以上の実務経験があること
  • 運行管理者等基礎研修を受講していること

ココに注意

試験合格後、運行管理者資格者証交付申請を3ヶ月以内に行う必要があります。

その期間を過ぎてしまった場合、試験を受け直さなければなりません。

国土交通省令で定められた一定の実務の経験その他の条件を満たすこと

この要件で運行管理者の職に就くことを目指す場合、2つの要素を抑えておく必要があります。

  1. 一般貨物自動車運送事業者等の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有するものであること。
  2. 国土交通大臣認定の講習を5回受講したものであること。

これらの条件を満たした場合に自動的に運行管理者の職に就けるわけではなく、以下の交付申請を行う必要があります。

運行管理者資格者証交付申請

必要書類

  • 運行管理者資格者証交付申請書
  • 実務経歴証明書(申請する資格者証の種別に応じた事業ごとに必要)
  • 運行管理者等指導講習手帳の写し
  • 自動車運転免許証または住民票の写し

審査期間

  • 申請から2週間程度

申請先

  • 各運輸支局に確認

ココに注意

講習受講歴の算定には、細かいルールがあります。

  • 1年に複数回受けたとしても、受講歴としてのカウントは1年につき1つまで。
  • 実務を行っていない期間の受講歴は受講歴として認められない。
  • 5回のうち、1回は基礎講習を受講していなければならない。
  • 平成19年4月1日以降で実務経験を証明する場合、補助者の職に就いたあとの経験を実務経験として扱う。

実務経験による申請までの流れを整理してみよう

  • 基礎講習を受ける
  • 会社に補助者として選任して貰う(貨物の場合、届出は不要)
  • 翌年から基礎講習 又は 一般講習を年1回受講する(通算5回)
  • 運行管理者資格者証交付申請を行う

ココがポイント

  • 起算日は基礎講習修了時点からカウントすることができる。
  • 補助者となるために受けた初回の基礎講習についても受講歴に算入できる。


運行管理者選任届の提出

運行管理者資格者証を取得した上で、運行管理者選任届を行う必要があります。

ココに注意

  • 変更のあった日から15日以内に提出すること

その他、詳細な手続きについては各運輸支局の指示に従ってください。

運行管理者を配置しなかったときの罰則

ズバリ、30日間の業務停止処分を命ぜられます。

すなわち、貨物自動車運送事業1本での経営だった場合、リカバリーはかなり厳しい状況になってしまうのではないでしょうか。

一般貨物自動車運送事業においては、選任が必要な運行管理者は1名ですが、予め有資格者を雇用しておいたり、補助者を選任しておくなどして、万が一の事態に備えておくことが望ましいです。

ココに注意

万が一、不慮の事故等で運行管理者が不在となってしまった場合は、速やかに次の運行管理者を選任しなければなりません。

猶予期間については明確に示されておらず、中部運輸局に確認したところ、酌量の余地はあるが、日数等については明言は出来ないとの回答でしたので、懈怠とみなされないよう、速やかに選任しましょう。

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まとめ

この投稿で抑えておきたい2つのポイント

  • 運行管理者となるためには、2つの方法があること
  • 配置義務を怠ると、事業に深刻なダメージを受けること

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    この記事を書いた人

    運送業などを経て行政書士事務所を開業。 一般貨物自動車運送事業の手続きを始めとした自動車関連業務の手続きに特化。

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