一般貨物自動車運送事業の選任運転者(ドライバー)について

ご相談者さま

一般貨物自動車運送事業を始めたいけど運転者はどんな人を雇ったら良いの?
人数や、その他運転者を選任するときに手続きは必要なの?

行政書士土井孝仁

選任運転者(ドライバー)さんのルールについてお困りですね?
おまかせ下さい!わかりやすく解説しています!

目次

どういう人が選任運転者になれるの?

一般貨物自動車運送事業(以下、運送業)の選任運転者としてお仕事をしてもらうには2つのSTEPをクリアする必要があります。
どちらも難しくはないですが、やることがたくさんあるので一緒に確認していきましょう。
まず、手順については次の通りです。

  1. 条件にあう人を雇用する
  2. 必要な指導教育を行う

それでは続いてそれぞれのセクションごとのルールを確認していきましょう。

選任運転者の条件にあう人って?

運送業の選任運転者として雇用するにあたって要求されている条件はとってもやさしいです。
気にしなければいけないことは法令上、全部で3つしかありません。

  • 日々雇い入れられるもの
  • 2月以内の期間を定めて使用されるもの
  • 試用期間中のもの

上の2つは、日雇いなど雇用期間が極端に短いものは認めないということですね。
ちょっと注意が必要なのが最後の試用期間中のものです。
これは「試用期間あり」で雇用した場合のことを言っています。
「え?試用期間中はトラックに乗せられないの?」と、いう声が聞こえてきそうですが、安心して下さい。
仮に「試用期間あり」で雇用した場合であっても14日を超えれば、その後は運転者として選任しても良いということになっています。
このことから、雇用してすぐトラックに乗ってもらいたい場合には試用期間を設けるのはNGなのでご注意くださいね。

選任運転者は何人いればいいの?

ズバリ、運送業に必要な選任運転者の数は車両の台数に見合った人数です。
原則、5台あれば5名、10台あれば10名と台数に比例して必要人員は増えていきます
とはいえ、運転者の退職などを考えれば、バランスを常に保つのは困難です。
そのため、運転者より車両が多くなってしまったとしてもすぐ行政処分が予定されているわけではありません。
但し、名義貸しなどを疑われる可能性もあるので、そこには注意が必要です。

新しく、運送業の許可をとる場合については、原則5台の車両に対して5名のドライバーを雇用することを要求しています。特異な事情があって人員が用意できず、お困りの方は1度弊所までご相談くださいませ。

【参考】選任運転者と車両の数のバランス

車両の数と選任運転者の人数はバランスがとれている必要があるとお伝えしましたが、このルールは「貨物自動車運送輸送安全規則の解釈及び運用について」という通達で定められています。
あくまで指針であって参考程度の算定式なので読み飛ばしていただいてもOKです。

営業所全体に公休日がある場合

運転者数 ×  (7日 ー 休日数)  ≧ 車両数 × (7日 ー 休日数)

営業所全体が無休の場合

運転者数 ×  (7日 ー 休日数)  ≧ 車両数 × 7日

【重要】運転者を選任するために必要な手続きって?

運転者を選任するにあたって役所に提出する書類はありません。
そのかわりに最低でも次の6つの準備が必要です。
時間のかかるものが含まれるので気をつけて準備を進めましょうね。

  • 運転者台帳の作成
  • 運転記録証明の取得
  • 特別な指導の実施
  • 適性診断の受診
  • 健康診断の受診
  • 社会・労働保険への加入

このうち、健康診断の受診と社会・労働保険への加入についてはおなじみのことと思います。
問題となるのが、運転者台帳をはじめとした4項目になるかと思います。
それぞれ、全体像を確認しておきましょう。

運転者台帳

運転者として選任された方について必ず作成を要するものです。
保管義務もあり、運転者がその営業所の運転者でなくなった日から3年間は保存しなければなりません。
法律で定められた記載すべき内容は次の9項目です。

  • 作成番号及び作成年月日
  • 事業者の氏名又は名称
  • 運転者の氏名、生年月日及び住所
  • 雇入れの年月日及び運転者に選任された年月日
  • 道路交通法に規定する運転免許に関する一定の事項
  • 事故を引き起こした場合又は道路交通法第百八条の三十四の規定による通知を受けた場合は、その概要
  • 運転者の健康状態
  • 貨物軽自動車運送事業輸送安全規則第十条第二項の規定に基づく指導の実施及び適性診断の受診の状況
  • 運転者台帳の作成前六月以内に撮影した単独、上三分身、無帽、正面、無背景の写真

運転記録証明の取得

運転記録証明は、事故や交通違反等を把握するために取得する必要があります。
取り寄せるべき記録は、過去3年間分でOKです。
取り寄せた結果に応じて、このあと解説する特別な指導や適性診断の受けるべき内容がかわります。
つまり、運転記録証明の内容を基準に指導や適正診断を行う必要があるんですね。

特別な指導の実施

運送事業者には、一定の運転者に対して特別な指導を行うことが義務付けられています。
そのうち、新しく運転者として選任されるものについては、「初任運転者に対する特別な指導」を行わなければなりません。
その他、以下の対象者に書かれている運転者さんについては下記のとおり特別な指導を行う必要があります。

初任運転者に対する特別な指導
  • 対象者
    • 新たに運転者として雇い入れたもの
  • 実施時期
    • 乗務する前
    • やむを得ない場合、乗務をはじめた後1ヶ月以内
  • 指導内容
    • 座学15時間、実技20時間(具体的な内容は省略)
事故をひきおこした運転者に対する特別な指導
  • 対象者
    • 一定の事故等をひきおこしたもの
    • 雇い入れ時に取得した運転記録証明に一定の事故が確認されたもの
  • 実施時期
    • (再度)乗務する前
    • やむを得ない場合、(再度)乗務をはじめた後1ヶ月以内
  • 指導内容
    • 座学、実技あわせて6時間(具体的な内容は省略)
高齢運転者に対する特別な指導
  • 対象者
    • 65歳以上の運転者
  • 実施時期
    • 適齢診断の結果が判明したあと1ヶ月以内
  • 指導内容
    • 適齢診断の結果を踏まえて、個々の運転者ごと

運転者として選任する場合、初任の特別な指導は全員へ、その他にも該当する項目があればそちらも全て受けなければなりません。
例えば、新任の方が一定の事故を引きおこしていた場合、トータルで41時間も指導のため時間を確保する必要があります。
いずれも、原則は乗務する前となっていますので、お忘れなく時間を確保してくださいね。

適正診断の受診

適性診断は、認定をうけた機関に申し込んで受診をして頂く必要があります。
対象者と受診時期については、特別な指導と同じです。
適齢診断については、新任の場合は特別な指導と同じですが、選任後65歳を迎えた場合は、65歳を迎えた日から1年以内に受診しなければなりません。その後は3年以内ごとに定期に受診しなければならないなど、継続的に管理しなければなりません。

初任の適正診断や特別な指導を過去3年以内に受けている場合は免除されることがあります。
その他、特定診断や適齢診断の受診をもって初任診断の受診義務をクリアしたことになるという特例もあります。
少し複雑なので、ケースごとに判断する必要があります。

おわりに

選任運転者についてまとめてみましたが、いかがでしたか?
運転者としてきちんと選任されているかどうかは、巡回指導や監査においても特にチェックされる点でもあります。
弊所の運送事業に関する帳簿の適正化サポートでは、今回の運転者台帳が適正に管理されているかどうかのチェックや雇い入れ時の特別な指導の座学分に関するサポートをはじめ、運送事業を適正に営んでいくためのサポートサービスを準備しています。
事業運用でお困りの方は、1度ご相談されることをご検討頂けましたら幸いです。

    もしお役に立てたならシェアしてくれると嬉しいです

    この記事を書いた人

    運送業などを経て行政書士事務所を開業。 一般貨物自動車運送事業の手続きを始めとした自動車関連業務の手続きに特化。

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