2024年改正対応!休息時間の考え方 | 改善基準告示解説シリーズ

改善基準告示に関する休息時間の説明図
ご相談者さま

休息時間は最低9時間与えればいいんだよね。
これはカンタンだし、しっかり管理できてるよ。

行政書士土井孝仁

素晴らしいですね。
仰るとおり、とてもシンプルなルールで分かりやすいです。
ただ、シンプルがため勘違いもよく起こります。

ご相談者さま

そうなんだ、そう言われると特に深く考えたことはなかったかもしれないな。

行政書士土井孝仁

この記事では、うっかりミスの原因となりやすいところを厳選して紹介していますので是非読んでいってくださいね。

目次

休息時間の超キホン

まずは、改善基準告示のうち休息時間に関するルールを確認しておきましょう。

努力義務 継続11時間
少なくとも 継続9時間

特例による例外はあるものの、キホンとしてはこれを覚えておけば間違いありません。
拘束時間のルールが原則最大15時間までとされているところ、この9時間と合わせるとちょうど24時間になります。
また、休息時間は拘束時間をリセットするために必ず取らなければならないものでもあります。

このように休息時間と拘束時間は表裏一体なんですね。
続いてはこの記事のメインとなるうっかりミスのポイントを解説していきます。

ここが危ない!よくある休息時間ルールの勘違い

このセクションでは休息時間にまつわる勘違いを紹介・整理していきます。
まずは次の4項目をご覧下さい。

  • 「休憩」時間と「休息」時間
  • 休息時間ってどこからカウントするの?
  • 休日と休息時間の関係
  • ゼッタイに継続9時間休息時間を与えるなんてムリ!

早速、内容を見ていきましょう。

「休憩」時間と「休息」時間

さて、1つ目は休憩時間と休息時間の関係です。
言葉としてもよく似ているので、混同することはよくあります。

中でも休憩時間と休息時間を足して合計9時間を作れば良いと勘違いしてしまっているケースは意外とよくあります。
ルールにも「継続」9時間以上とされているとおり、合わせ技で9時間を作ってもそれは、基準を満たしません。
連続した9時間というのが原則となっていますので、しっかり整理しておきましょう。

休憩時間と休息時間はいずれも、指揮命令から解放されていることが必要です。
詳しくは信頼できる社会保険労務士の先生に相談してくださいね。弊所の近隣であればご紹介も可能ですよ。

休息時間ってどこからカウントするの?

続いては休息時間がどこからスタートするのか、についてです。

こちらもシンプルにお伝えすれば、指揮命令から解放されてから休息時間とされるのですが、指揮命令から解放しているかどうかの判断は非常に難しく専門性を求められます。

そのためこちらも、個別具体的に仕事の状況を伝えた上で、社会保険労務士の先生に相談されるのが最善だと思います。

休日と休息時間の関係

次は休日と休息時間の関係です。
ここのポイントも勘違いがとても多いところです。
まず、休日と休息時間は別物として考えなければならないことを覚えておきましょう。
というのも、休日と思って管理をしていても、ルール上、休日としてカウントできないということがよくあるんです。

何故、このようなことが起こってしまうのか、その理由はちょっと複雑なルールが背景にあります。

こと改善基準告示によれば、休日として認められるには原則「継続9時間の休息時間+継続24時間のお休み」を確保しなければなりません。
つまり、仕事から離れて33時間をもって1休日としてカウントされるんですね。
ちなみに連休の場合はこの33時間に24時間を足した57時間を確保しなければなりません。
この隠れたルールが悪さをして、フタを開けてみたらこの33時間を割っていて休日としてはノーカウントになってしまう、という事態を引き起こしているんですね

ゼッタイに継続9時間休息時間を与えるなんてムリ!

さて、最後は継続9時間も休息時間を与えるなんてムリ!という方に向けた特例のご紹介です。
休息時間に関して特例が定められているものは次の通りです。

  • 宿泊を伴う長距離貨物運送の特例
  • 分割休息
  • フェリー乗船特例

それぞれ、ドカンと継続9時間の休息時間を与えることが困難なケースに対して、一定条件を満たした場合に限り、休息時間に関するルールを緩和するというものです。
この記事で詳細は割愛しますが、ひととおり読んでみてどうしてもムリ!という場合はこういった制度を調べてみましょう。
当サイトでも、順次解説記事を追加していく予定です。

休息時間の考え方まとめ

さて、改善基準告示の休息時間に関することがらについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?
思わぬ気付きがあった方もいらっしゃることだと思います。
運送事業に関する働き方のルールは、それ単体はシンプルであっても制度全体を完全に理解しようと思うととっても大変です。
当サイトでは休息時間以外にもわかりやすく改善基準告示のルールを解説していますので、ちょっと自信がない方をはじめ、復習のために1度目を通してみてください。

それでは、本日もご安全に。

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この記事を書いた人

運送業などを経て行政書士事務所を開業。 一般貨物自動車運送事業の手続きを始めとした自動車関連業務の手続きに特化。

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